店長日記
ベンソン 広告鍵
2017年07月21日
J.W. Benson の広告入り懐中時計鍵ですが、事業所在地としてラドゲード・ヒルはもとより、
オールド・ボンド通りが陽刻されており、ラドゲード・ヒルは1854-1937の83年間運営された主たる事業所に対し、
オールド・ボンド通りの事業所(高級宝飾商が軒並みにならぶ一等地でたぶんショップとしてのみ)は1872-73年の1年間の運営になります。
鍵巻き時計の最後でもあり、この時期に一気に鍵メーカーに発注したのか、大概はオールド・ボンド通り銘がはいっております。
それ以前のコーンヒル(1847-64)で営んでいたころのものは鍵巻き時代でも見たことはないですし、
ロイヤル・エクスチェンジの事業所(1892-1937) 明記のものも見たことはありません。
こちらのものはめずらしいことに裏側にベンソンの最高級ラインナップのラドゲード・ウォッチに力をいれていたようで、
5ポンド5シリングと値段まで入っております。ベンソンで時計購入者にサービスでつけたものかとおもいますが、
なんだかイギリス紳士が人前で時計を巻く時に値札を見せているようで、微笑ましいものです。1870年頃の5ポンド5シリングは、
現在の2,300ポンドぐらいですので本日2017年7月21日のレートで333,500円ぐらいになります。(あくまで単純計算ですので、実際は生活の費用や
平均の収入、当時の日本の物価換算によるレートの割合いなどの違いなどによりもっと上がると思います)。
これでも、当時の懐中時計としては破格なのだとおもいます。ただし、最低グレードの値段で、ここに石数を増やしたり、ケースを金にしたりと
自動車のオプションをつけるごとに値段は上がっていくようなものだと思います。