商品詳細

室町ー江戸初期 お伽草子 絵巻 断簡

販売価格: 200,000円(税込)

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こちらは額装されたもので、もともとは巻物になっていたものだとおもいます。これまでいろいろと宮中を画題としたものを見てきましたが、ここまで優れたものを美術館以外で目にすることははじめてで、ましてや実際に手にすることは尚更であります。描き手の繊細な筆使いに加え、表情の描写、色彩 さらにそえられている書もまさにその時代のもので、たいへん優雅なしあがりです。内容はお伽草子 「かざしの姫君」になります。釈文は 

『御花ぞろへなかりせば、かかる憂き目はあらじ物を、とてもかくても長らへ果つべき我が身ならねばとおもふも中々心ぐるし。はやゝゝ迎へ給へ少将殿、我をは誰に預けをき、いづくへとておはすらん。我ならぬ身のはかなさは今し悩ましにならせ給へば、めのと(乳母)如何にと悲しみて、母上にこのよし申しければ、中納言殿も騒ぎ給ひて、いろいろに労り行へども、その験もあらざれば、乳母かんなぎ(巫)のかたへゆきて慎みにならせ給ふ。姫君の長月つもこり(「つごもり」の誤記)の時より労りつかせ給へるは』
になるようです。

角川書店 室町時代物語大成 第三集 401-402p (原本は慶応義塾図書館蔵)の全文からの部分抜粋では
「御花そろへなかりせは、今この比は、かやうのうきめ、あらし物をとて、もたへなからも、はつへき身ならねは、思ふも中々、心くるし、はや々、むかへさせ給へ、少将殿、我をはたれに、あつけをき、其身は、いつくへ、おはすらん
神ならぬ身の、かなしさは、いまをかきりの、ことの葉なと、返しをも、た々世の中のはかなさを、おもひつ々けて、かなしひ給ふかとのみ、おもひしか こは何事そ、浅ましや、夢かうつ々かと、はかりに、あきれて、ふししつみ給ふ 
わするなとのみ、のたまひしを、それをわかれのこと葉とは、今こそ思ひしられけれ、扨もあたなるちきり故、身をいたつらになす事も、今一たひは見え給へと、かなし給ひ、したい々になやませ給ひ、御心もよはけれは
母うへに、めのと、此よし申けれは、中納言殿も、さはき給ひて、さま々、いたはり給へとも、そのしるしも、あらされは
めのと、はかせのかたへ行て、御年十五にならせ給ふ姫君の、長月つこもりの比より、いたはりつかせ給へるは、いか々待らんや、かむかへてたひ(こと?)へと、申しけれは」となっておりやや本紙が省略されているようです。
少々長くなりましたが、美術、博物館クラスの作品です。額のサイズで幅約62cm 縦約50cm なお本紙、釈文をお手伝いいただきました。Fさまには誠に感謝いたします。この場を於いてお礼申し上げます。ありがとうございました。
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