こちらは大型のペアケース銀無垢懐中時計で文字盤に2隻の英国海軍帆船の風景が手描きエナメルにて仕上げられたもので、うれしいことに程度も外端にぽつり、ぽつりとアタリはみえますが、このような程度ででてくることは、なかなかないものです。農村の風景や、鉄道の情景などを描いたものを時々みかけますが、海洋シーンがやはり一番だとおもいます。美しい海と空の水色に帆船の帆の繊細さにみとれてしまいます。こういった風景を描いた職人は決して、専門の絵師ではなく、このようなナイーブな仕上がりに最も当時の価値を見いだすことができるもので、その中でも、こちらの全体のバランスの良さに心をひかれてしまう魅力的な逸品になります。18世紀でほぼすたれてしまった、ローマ数字と5分刻みのアラビア数字の並記もこちらの魅力をさらに広げてくれております。
機械は当時としては一般的なバージフュージ 円柱ピラー トンピオン緩急計でオーバーホール済みで精度もしっかりしております。時計師はロンドンのジェームス・イートンになります。ハイドームクリスタル美品です。ペアケースも美しい状態で、ホールマークはロンドンの1820年 ケースメーカーはJMとなっております。1820年はジョージ4世が戴冠した年で、空砲を打ち上げているような雰囲気はこれを祝ったものかと思っております。径約57mm 161g