こちらは貴重なエボナイト製の時計鎖で喪中(モーニング)の装いに使われたものになります。ビクトリアンの喪中期の装いについて書き出すと本になってしまいますのでここでは簡単にいたしますが、一般の人々のファッションは宮廷の装いがお手本となる時代でビクトリア女王の夫であるプリンス・アルバートの喪に服する思いが女王の黒い装いを生涯続けたことにより、その風習が庶民に広まることになりました。今回の鎖はエボナイトという人工樹脂で作られており、1844年にアメリカのチャールズ・グッドイヤー(タイヤなどの)が特許を取得したもので生ゴムに硫黄とアマニ油の合成により作られるもので、1907年頃の完全な初期のシンセティックプラスティックであるベークライトとは異なります。名はエボニー(黒檀)の代用品からきているようです。軽くヒネリに強いので、見た感じは華奢なのですが、同じ形状をプラスチックで構成すると劣化でパキパキいってしまうところですが、こちらのエボナイトは割ることなくリンクを外すことができます。当時はベークライトも含め宝飾品としての利用も多く重要な役割を担ってきました。Tバー美しいカットスティールが採用されております。ナスカンは色調がやや異なりますので白銅系かと思います。エボナイトはしっかりしておりますが、予備のリンクをお付けいたします。柔らかくなる温度が70-80度ぐらいですので、暑い夏でも外気温では大丈夫ですが、車中には起きっぱなしにされないのが良いと思います。
Tバーから時計用のリンクのみの長さで約30cm 写真の時計は付属いたしません。