店長日記

ブルズアイクリスタルの謎

2013年01月21日

19世紀中期以前の懐中時計にみられるブルズアイ(牛の目)クリスタル風防はなぜあの形状になったのでしょうか?いろいろ調べてみてもこれだと言う結論はみつからないようです。一説は吹きガラスのポンテ跡を処理するために削り落とした、または、文字盤を見るのにレンズ効果をねらったなどがあります。古いタイプは針固定用の軸が長くそれを覆う風防は山高になるために、個人的には、作業をするときは、機械をケースからはずし、ベゼル側に文字盤側を下にして機械を置くとカットがはいっているブルズアイガラスのほうが、コロコロしないので、一時的な作業台のかわりになるところもこの形状が発展した理由の一つかとおもっております。18世紀の時計師は仕上がった時計の文字盤が歪むブルズアイクリスタルを使用することを嫌ったようなのですが、加工の精度を必要とする完全なドーム型にするほうが、一見、一手間が多いように見えるブルズアイタイプドームクリスタルより、むずかしかったのではないかとおもいます。また、ガラス作製において、当時は球形にした宙吹きガラスから切り取ったということを聞いたことがあるのですが、風防のアールの角度を見ると、大きめの球にしてたくさん切り取ることは不可能で、一回の吹きガラスから2つしかとれず、一つはポンテ跡ができるので、50%の確率でブルズアイになったのでしょうか? 今でいうワケアリ部分を手間をかけても廉価でリサイクルして出来上がったのがブルズアイで、それが後に形状のユニークなところから、多いに利用され一般化したという方向性は充分にありえることだと思います。ブルズアイの削りとった目の部分はよくみるとただ単に平に削り落としたものではなく、中心が低いすり鉢状になっております。これをみると削る側の道具は球形のヤスリのようで、ボール盤のようなもので、作業をしただろうという想像ができます。
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